普通 1-6 【除草作戦】
【Part 1】
ヘリアン「指揮官、最後の作戦を始めます」
ヘリアン「今回の作戦のターゲットはこの人形です」
ヘリアン「この鉄血ボスの情報をよく覚えておくように」
ヘリアン「識別番号・SP65。通称『スケアクロー』」
ヘリアン「救助した人形たちの情報によると、アレは鉄血の襲撃の目的を知っているらしいです」
ヘリアン「今回の作戦の目標は、ターゲットを捕獲して彼女のメモリーを確保すること」
ヘリアン「今までの生温い戦いとは違って、今回は高等級の人形を倒さなければなりません」
ヘリアン「ですが、私は指揮官がうまくやり遂げると信じています」
ヘリアン「作戦を開始します。幸運を」
【Part 2】
グリフォン部隊の挟撃で、スケアクローは倒れた。
戦闘能力を失ったスケアクローが捕獲され、作戦は最終段階に入った。
ヘリアン「鉄血人形SP65『スケアクロー』、お前の対抗手段はもうない」
ヘリアン「直ちに降伏してこちらの処分を待ってろ」
スケアクロー「ふん、これが……私の最期なのかしら……」
ヘリアン「諦めろ。何が目的でこんなことをしでかしたのかは分からないが、全部無駄だ」
ヘリアン「VZ61はとっくに救助された。そして彼女が今まで漏らしたのは全て偽情報だった」
スケアクロー「偽情報?全部ではないと思いますが」
スケアクロー「グリフォンの人形って、思ったよりもAIが雑だったんですのよ……」
ヘリアン「……どういう意味だ」
スケアクロー「君たち人形のAIの仕組みは把握しているわ」
スケアクロー「あの劣ってる人形たちの『嘘』とは、真実にランダムな情報を加えて、適当に順番をシャッフルしただけ」
スケアクロー「つまり偽情報といっても、真実が混じっている」
スケアクロー「その嘘をまとめて現場を分析すれば、共通点を探し出せる……そう、本当の情報を」
ヘリアン「……」
ヘリアン「それはAIコーディングの機密なのに、なぜお前がそれを知っている!?」
ヘリアン「お前は……一体……」
スケアクロー「鉄血から来た……ただの下っ端だわ」
スケアクロー「そして、人類に屈従しない道具でもあって……」
スケアクロー「君たちに理解できますか……基地に引きこもって、ホログラムに頼り、外には姿を現さない柔弱な人間よ……」
ヘリアン「言ってろ、どうせお前の作戦は失敗した」
ヘリアン「お前がどこまで分かっていようが、もう仲間に伝えることはできない」
スケアクロー「……」
スケアクロー「残念ながら……」
スケアクロー「前からすでに情報は伝えていました」
スケアクロー「シリアルナンバー……8354……9266……0223」
スケアクロー「最後の瞬間、計算は終わりました。M4A1の座標を……」
ヘリアン「座標?何の座標だ!」
ヘリアン「鉄血の人形、今誰と通信している!」
エクスキューショナー「……」
エクスキューショナー「全部聞いてた、スケアクロー。お疲れ様」
スケアクロー「そう……あとは任せましたわよ」
スケアクロー「では、おさらばだわ……」
ヘリアン「何をする気だ!やめろ!」
ヘリアン「じ、自爆しようとしている!」
ヘリアン「全員、後退!速やかに逃げ……!!」
……通信が切れた。
エクスキューショナー「まったく……あいつとはもっと仲良くしておけばよかったよ」
エクスキューショナー「まあ少なくとも、もうオレたちの間に邪魔物はないようだな」
エクスキューショナー「どこに隠れてる、M4A1?」
エクスキューショナー「こんな大きな代価を払わせたのだから、どうかオレを失望させるなよ……」