普通 2-6 【作戦中止】
【Part 1】
ヘリアン「指揮官、貴方も薄々気づいていると思います」
ヘリアン「今度の鉄血のS09区侵入事件は、絶対偶然なんかではありません」
ヘリアン「鉄血のボスは現在M4A1という戦術人形を探しています」
ヘリアン「彼女はグリフォンのAR戦術小隊所属で、以前はずっと16LABのペルシカ研究員に雇われてデータ収集の実験を行っていました」
ヘリアン「情報によると、彼女のクラウド・マインドマップ、すなわちメモリベースに重要な機密情報が入っている可能性があります」
ヘリアン「M4A1は現在S09区で行方不明の状態です。急いで彼女を回収しなければなりません」
ヘリアン「ですが、ある種の協議のせいでグリフォンは公然とこの事には手を出せません」
ヘリアン「打ち合わせの結果、グリフォン本部では貴方にこの任務を任せることにしました」
ヘリアン「直ちにS09区のT6地帯を捜索して下さい。鉄血より前に彼女を確保しなければなりません」
ヘリアン「該当地域の鉄血ボスは識別番号・SP524。通称『エクスキューショナー』と呼ばれる鉄血の高等人形です」
ヘリアン「アレの現在の目標は捜索ではありますが、下手に近づくと攻撃されるかもしれないので気をつけて下さい」
ヘリアン「速やかに敵の指揮部を占領して敵の通信チャンネルを遮断し、M4A1を探して下さい」
ヘリアン「今度の任務は非常に重要です。指揮官、グリフォンのお偉い方も貴方に期待しています」
ヘリアン「どうか本部を失望させないように」
【Part 2】
……戦場の隅っこ。
M4A1「どうしました、エクスキューショナー。想定してない事態でも起こったかのような顔ですね」
エクスキューショナー「ちっ、何がどうなってるのか……」
エクスキューショナー「グリフォンの人形なんかが、本部の命令が下る前にオレの指揮部を奇襲できるなんて……」
M4A1「あちらにはグリフォンの部隊を別に動かせる人間指揮官がいますので」
エクスキューショナー「……なるほど。今までこの瞬間を待ってたのか?」
M4A1「賭けでした」
M4A1「あちらを信じるほかなかったんです」
M4A1「ではあなたの最期についてでも話し合ってみましょうか?」
エクスキューショナー「最期?これで最後だと思ってるのか?」
エクスキューショナー「たとえ貴様がグリフォンの部隊の中に隠れたとしても、オレたちには他にも手がある」
M4A1「どういう意味ですか?」
エクスキューショナー「忘れるなよ……まだお前の仲間三人が戦場に残ってるのを…」
エクスキューショナー「これがどういう意味なのかはお互いよく分かってるだろう……」
M4A1「……」
……M4A1が引き金を引いた。
M4A1「あなたは彼女達を口にしてはいけなかったんです。鉄血のクズめ」
エクスキューショナー「ふん……かまわない……」
エクスキューショナー「知っているだろう。オレたちは……そう簡単に……消えないと……」
…………5分後。
人形部隊が救出地帯に到着した。
M4A1「……」
M4A1「貴方ですか……指揮官?」
M4A1「貴方がペルシカさんの言った……指揮官ですか?」
M4A1「失礼いたしました……自己紹介からでしたね」
M4A1「私の通用コードはM4A1。私を呼ぶ時はこの名前で呼んでください」
M4A1「私はグリフォンの人形で、AR特殊小隊所属です。いくつかの理由で鉄血に追いかけられていました」
M4A1「ペルシカさんの話では、戦術指揮官お一方が私を迎えに来るって聞きましたけど」
M4A1「彼女の言った暗号……は……」
M4A1「え……『角砂糖』?」
M4A1「間違いないですね。適切な支援を感謝いたします」
M4A1「あの、一つだけお願いがあります……」
………私達を、救ってください。