緊急 4-3 【記憶回想Ⅲ】
【Part 1】
M4A1「おはようございます、指揮官。カリナさんも」
カリナ「解読は順調です。もうちょっとで三番目の座標が分かりますよ!」
M4A1「よく分かりません……カリナさん、どうやって解読方法が分かったんですか?」
カリナ「これはすごく原始的な暗号化だから、単純にAIで解けるようなものじゃないんです」
カリナ「こう見えてもわたし、結構色々知ってますから」
M4A1「でも…もしこれが人形のクラウド・マインドマップなら、どうしてこんな方法で暗号化したのでしょうか…」
カリナ「それまではわかりませんね、とりあえず次の座標を見てみましょう」
M4A1「座標を見たところ、多分ここにあるはずです」
M4A1「指揮官、整理が終わったら私達AR小隊が新しい戦利品を回収してきます」
カリナ「ふむふむ。では指揮官様、わたしたちはここからですね」
【Part 2】
M4A1「これが…三番目の音声録音テープです」
M4A1「では再生します…」
オーディオの再生を開始……
『They…are…』
『…in the skies…』
……再生終了。
M4A1「アレらは空にいる?」
M4A1「一体どういう意味でしょうか?」
AR15「何の意味もない。つまらない詩文よ」
AR15「思いも寄らなかったわ。あなた達が真剣に研究を始めたなんて」
M4A1「AR-15、おはようございます」
AR15「私達が死力を尽くして戦ってきたのは何のためなのか見たくてね」
M4A1「今度は指揮官が自ら指示を出して指揮した作戦です。異議はありえません」
AR15「命令には異議ないの。でも最後の最後に手に入れられたのがこんな意味不明の録音なら…時間の無駄遣いよ」
M4A1「まだ最後の録音が残っています。それが見つかると、全てが明らかになるはずです」
AR15「気をつけて、M4A1。知っての通り、私達のクラウド・マインドマップはサーバーにバックアップ出来ない」
AR15「壊れてしまうと、私達は……(肩をすくめる)」
M4A1「大丈夫です、ようやく皆が集まったんですもの。もう絶対誰一人仲間を失いません」
AR15「ふーん……変わったね、M4A1。昔のあなたなら自分自身のことすら信じなかったでしょうに」
M4A1「それは……前に皆と離れてしまった時、皆を失うという気持ちが分かったんです」
M4A1「私が変わったのかは自分ではよくわかりませんが、前の失敗を繰り返さないためにも、私は責任を担わなければなりません」
AR15「ならいいけど。でも自分のことをあまり追い詰めないで」
AR15「人形にとって何よりも恐ろしいのは、死ぬことじゃなくて失望だから」
M4A1「AR-15……」
M4A1「もしかして……『死』を経験したことが……」
AR15「……」
AR15「人形の『死』……それに何の意味があるの?」
AR15「仮にこれがとある人形が残した物だとしても、真実よりも……彼女の気持ちってそんな大事なものなの?」
M4A1「AR-15……私達は運がいい方です。指揮官が私達を引き取って面倒を見てくださっていますから。まるで……家族のように」
AR15「すみません、指揮官。別意はありませんでした……」
AR15「私達は一介のAIで作戦道具。それだけです」
AR15「M4A1、行こう。作戦を果たしに」
M4A1「はい、カリナさんにまた座標を送ってもらいました。私が確認してみます……」
AR15「……待って」
AR15「この座標……」
AR15「まさか私達が行った……この前のあの場所?」
M4A1「この前?」
AR15「そう、S09区の……鉄血のエージェントに遭遇した、あの場所よ」