緊急 6-2 【最後の願望Ⅱ】
【Part 1】
ヘリアン「M16、今戦場で何が起きているのか説明しろ!」
ヘリアン「後退を命令したはずだが、何故まだ味方の人形が戦線に残っている!」
M16A1「現在彼女達は通路の前で足止めされてる。中での信号は遮断されてるし」
M16A1「周りには鉄血の伏兵だらけだ。こっちであろうが向こうであろうが、無鉄砲に突破しようとしたら被害が大きすぎる!」
ヘリアン「もしかして【傘】は今も作動してるのか?何故AR-15は現場を離脱していない?」
M16A1「多分、敵のボスに捕まってる。アルケミストってやつに……」
M16A1「ネゲヴが挑発に乗ったのもアイツの狙いだったと思う……」
ヘリアン「策略派のボスか……私の調査にミスがあったようだ」
ヘリアン「ならば今の最優先の目標は、AR-15に協力して敵の包囲網を突き破って速やかに離脱することだろう?」
M16A1「ああ。今私達で作戦を考えてみたがーー」
M16A1「指揮官、聞こえるか?」
M16A1「今、SOPⅡを戦場を突っ切って遮断網の中に入らせるつもりだ」
M16A1「あとはSOPⅡが皆に的確な避難ルートを教えてくれるから」
M16A1「だがそのためには、先に指揮官の部隊が外郭の鉄血部隊をやっつけてSOPⅡに道を作ってもらわないとな」
M16A1「指揮官。AR-15とM4A1、そして他のグリフォン小隊員の……」
M16A1「皆の安全が指揮官の肩にかかってる。任務の成功を祈るぞ!」
【Part 2】
……同時刻、S08区の輸送路。
アルケミスト「もう終わりだ、AR-15……」
アルケミスト「どうせもうすぐ死ぬくせに……これ以上足掻いたって意味ねぇんだよ」
AR15「あんただって……どこにも行けないわよ……」
AR15「外郭にあるあんたの部隊はもう指揮官が全部やっつけたわ。グリフォンの人形が逃げ切るのは時間の問題よ」
アルケミスト「ふふ、わたしの目標はどこまでもM4A1だ……」
アルケミスト「まあ……わたしの機嫌が悪くなったら処刑だ。嫌なら彼女を寄越せ」
AR15「アルケミスト……一つ勘違いしてるようね……」
AR15「そもそも私は……M4A1と一緒にいるとは一言も言ってないけど……」
アルケミスト「…………?!」
アルケミスト「ああ……そうだったのか!」
アルケミスト「ははははははは!」
アルケミスト「やっぱりお前ってやつは面白い、AR-15!」
アルケミスト「素晴らしい、こんな卑怯でずるい手段。これこそがわたしの欲しい浪漫だ!」
アルケミスト「もう少しで終わってしまうのが……残念で仕方ねぇな……」
アルケミスト「観客がお前一人じゃ、どんな処刑を与えたってつまらないだけだろう……」
M4 SOPMODⅡ「もう一人いたらどうなるかな?」
……………!
M4 SOPMODⅡ「もっと言ってみろよ……化物め、もっともがいてみろ……」
M4 SOPMODⅡ「言え!こんの野郎!簡単に死ぬんじゃねぇ!」
AR15「ストップ、SOP-Ⅱ。もうただの死体だから。時間の無駄遣いよ」
M4 SOPMODⅡ「はあ……ごめん。緊急状況だから感情を殺せなかった……」
AR15「(ため息)やっと貴女らしいわね……」
AR15「ダミーかと思ったわ」
M4 SOPMODⅡ「…………」
…………
AR15「ちょっと、急に抱きつかないで!私は怪我人なのよ!」
M4 SOPMODⅡ「やっと会えた、AR-15……」
AR15「何を怖がってたの。私が死ぬわけないでしょ……」
AR15「っていうか、どうやって私を見つけたの?」
AR15「またM16から命を投げ捨てる方法でも教わったの?」
M4 SOPMODⅡ「ここは戦場だから息をしてるだけで危険だよ。ね?」
M4 SOPMODⅡ「【傘】でもすべてのネットワークの遮断は無理だったみたい、AR-15……」
M4 SOPMODⅡ「……わたしたちがAR-15に会いたいと思ったから」
AR15「………」
M4 SOPMODⅡ「安心して。アルケミストに足止めされてた小隊は順に撤収してるよ」
M4 SOPMODⅡ「一応場を変えて、これからのことを一緒に考えようね」
AR15「……」
AR15「ごめん、でも私はここで帰れないの……」
AR15「このメモリを持って行って。M4の隠れ場所と、今まで私が収集した情報すべてがこの中に入ってる……」
AR15「あと……皆に言いたかったことも……」
M4 SOPMODⅡ「AR-15……何言ってるの?」
M4 SOPMODⅡ「大丈夫だよ、まずはAR-15を安全な場所に連れていくから。あとは16LABが打開策を考えてくれるよ!」
M4 SOPMODⅡ「ヘリアンも今度の【傘】はAR-15の失策じゃないって言ってたよ。きっと責められたりしないよ」
AR15「そういう問題じゃないの、SOP-Ⅱ……」
AR15「貴女はこの状況の恐ろしさを分かっていない。アルケミストはただの執行者にすぎないわ」
AR15「背後のボスを防げられないと、鉄血に全滅しかねない!」
M4 SOPMODⅡ「その背後のボスって……」
M4 SOPMODⅡ「本当にわたしたちではどうしようもないやつなの?」
AR15「今の私達ではどうにもできない……」
AR15「だから、私が行って彼女に会うしかないの。これが皆を救える唯一の方法よ」
M4 SOPMODⅡ「AR-15……この事態に、責任を取るつもりなの……?」
AR15「私は事実を言っただけよ、SOPⅡ。罪責感とか後悔とかじゃない……」
AR15「約束するわ。打開策を探し出してみせるから、私を止めないで」
AR15「貴女のために、M16とM4A1のために、そして皆のために……」
M4 SOPMODⅡ「なら……約束してよ。馬鹿なことはしないと……」
M4 SOPMODⅡ「約束してくれるよね?AR-15!」
AR15「…………」
AR15「これは、私にしか出来ないことよ」
AR15「急いで、SOPⅡ。今すぐこの遮断網から離れて」
AR15「M4が貴女を待ってるわ。彼女を守ってあげて、お願い……」