緊急 6-1 【最後の願望Ⅰ】
【Part 1】
アルケミスト「ほう?あんな旧時代の弾薬で耐えられると思ってるのか?」
アルケミスト「どうなると思う?お前の仲間と一緒にわたしの手に千切られるだろうか、それとも一人で逃げ出しては倒れるだろうか?」
アルケミスト「わたしがお前の命を取るまでに、最高の恐怖を刻み込むが良い!」
作戦開始から一時間後、ネゲヴ小隊は鉄血部隊に包囲され、危険にさらされていた。
ガリル「くっそぉ……ハチの巣でもつついたんかよ!どんどん敵に攻め寄せられてきてるぞ!」
ガリル「なんでや、S08区鉄血多すぎやんけ!」
TAR-21「不思議ですね、敵の数はとっくにボスの普通の制御量を超えています」
TAR-21「アルケミストはただの囮かも知れません。私達を罠に落とすための……」
ガリル「どっちみちこれ以上は耐え切れないからな!」
ガリル「ネゲヴ、早う後退命令を!」
ガリル「……ネゲヴ?聞いてんのか、ネゲヴ!?」
TAR-21「ネゲヴのシグナルが消えました。きっと【傘】の遮断範囲に入ったでしょう」
TAR-21「彼女は今頃血に狂って周りが見えていない状態だと思います。ここは私達で打開策を考えるしかないですね……」
TAR-21「指揮官、聞こえていますか?しばらくの間ネゲヴとの連絡が出来なくなりました。指揮官の支援が必要です」
TAR-21「私達が無事後退できるように、ここら辺の鉄血の阻止部隊の撃退をお願いいたします」
【Part 2】
……支援作戦が終わった。ネゲヴ小隊は順調に危険地域から後退した。
TAR-21「ようやく離脱できました。指揮官、ご支援感謝いたします」
ガリル「で、ネゲヴのやつは?あいつ一人でほっとくわけにもいかないじゃん?」
M16A1「あいつなら今一人じゃないぞ。うちのSOPⅡも一緒にいる」
M16A1「あの不敵きわまりない二人が遮断網の中にいるのだから、生き残る確率は少しでも上がっただろうな」
TAR-21「M16が大丈夫と言うなら安心です」
TAR-21「では、私達はどうしましょうか?」
TAR-21「現在グリフォンは不利な戦況です」
M16A1「それどころか、山々の鉄血にあの遮断網まで……そこから逃げ切れる人形は幸運児だ」
M16A1「まずはできることをしよう。支援を待っている仲間が多すぎる」
M16A1「遮断網の方はあの戦闘狂らにお任せだ」
…………同時刻、S08区の輸送路。
アルケミスト「どうだ、AR-15?ちっとも動けないだろう……」
アルケミスト「お前がここから逃れられないと、後ろ側にいる仲間たちが逃げられないぞ?」
アルケミスト「まだM4をどこに隠したのか、口に出す気にはならんのな?」
AR15「アルケミスト、あんた……一体何を……」
アルケミスト「わたし?わたしはただ、軽ーくお前達の小隊を挑発して、瞞着しただけだがな」
アルケミスト「わたしを今度の襲撃の主導者と思って押し寄せてきたやつらの無様な姿だけは面白かったよ」
アルケミスト「あとはお前をここで釘付けにしておけばよい。ここはどうしても通らざるを得ないルートだから……」
AR15「彼女たちの通信は遮断されて、支援すら望めない状況に陥ってしまう……」
アルケミスト「あの哀れなやつらを処理するには、今のわたしの部隊でも刹那だ……」
アルケミスト「だが、わたしはお前に考える時間を十分与えたはず」
アルケミスト「選べ。M4A1の隠れ場所を言うか、大切な仲間たちが八つ裂きにされていくのをただ見守っていたいか」
AR15「……罪責感を焚きつけたって無駄よ、アルケミスト。いくら脅かしたって同じ」
AR15「M4を守るのが私に下された命令。そして私は、敵と妥協なんてしないわ!」
アルケミスト「ははは!お前みたいなやつは大好きだよ。お前らが存在するがゆえにわたしの世界はこんなにも美しいのだろうな!」
アルケミスト「処刑は一瞬だとでも思ってるのか?わたしがそんな短いパーティに満足すると思う?」
アルケミスト「お前がその信念を守っている間、より多くのグリフォンの人形が来て命を捧げるとは思わない?」
AR15「好きにすれば?アルケミスト、どんな残酷な仕業でもかまわない……」
AR15「一つだけ覚えておいて。あんたが何をしようが……」
AR15「今日、私とあんたのうちの一人は、死ぬから」