普通 ６－５ 【意志】
【Part 1】
……グリフォンS08区指揮室。
ネゲヴ「指揮官！指揮官、聞こえてる？」
ネゲヴ「情報を確認したところ、大量の鉄血部隊がこの区域に集まってきているのが分かった」
ネゲヴ「本部の指示では、グリフォン部隊は一応ここより離脱、とのことよ」
ネゲヴ「だけど、私の小隊は退却途中、鉄血に邪魔されてる」
ネゲヴ「全部やっつけながら前進したいところだけど、ここは安全に行くべきだよね」
ネゲヴ「だから指揮官。悪いけど、ちょっとこちらまで来てもらうわ」
ネゲヴ「私達の拠点はここよ。お願い、出来るだけ早く来てよね！」
【Part 2】
……作戦終了。ネゲヴ小隊は一時的に安全になった。
ネゲヴ「ふう……やっと終わった」
ネゲヴ「サンキュー、指揮官。何度も迷惑をかけちゃったね」
ネゲヴ「でも周りにはまだ鉄血が沢山残ってるから、油断大敵よ！」
ガリル「あの……誰かM16見なかった？」
ガリル「SOPⅡを探しに行ってから結構時間経ってるじゃん。なんでまだ帰ってこへんの？」
TAR-21「すでにM4やAR-15の情報は得たものの、私達を巻き込みたくないのかもしれません」
ネゲヴ「まったくねえ、ちゃんとルール守るやつは一人もいないのかよ！」
ネゲヴ「通信開始。彼女達の行方を探すわよ！」
TAR-21「申し訳ありません……彼女達の信号を捕捉できません」
TAR-21「こんな危険な状況ですから、通信が遮断されているって気づいたらすぐ離脱するのが合理的なはずなのに……」
ネゲヴ「………」
ネゲヴ「もし、その遮断網こそが彼女が探していたものならば……」
同時刻……
…………
AR15「じゃあ、私があなたの初めての友達ね」
AR15「まったく……めちゃくちゃね」
M4A1「あなたは……AR-15？」
AR15「あ、私を知ってるの？」
M4A1「あなたの武器……記憶モジュールに残っているAR-15人形の描写に符合します」
AR15「そっか……」
M4A1「あまり……嬉しくない顔をしてますね」
AR15「別に嬉しくなくもないわ」
AR15「あなたの友達になるのは私に下された第一の命令。積極的に近寄るのも命令の一環よ」
M4A1「でも……嬉しいなら、なぜ笑わないのですか？」
AR15「……」
AR15「ならば、命令を出しなさい。私に命令すれば、従うわ」
M4A1「私が……あなたに命令を？」
AR15「命令して。私にさせたいことがあるなら、何でも命令しなさい」
AR15「これはあなたの権限よ、M4A1。全部あなたのために用意された、権限」
M4A1「…………」
………………
M4A1「これが……私の記憶？」
？？「そうだ、グリフォンのM4A1」
？？「それが……お前の最初の記憶だ」
M4A1「誰ですか！何をしてるんですか！」
？？「先程の答えを探してる」
？？「『お前は一体誰だ』……についての質問の答えを」
M4A1「私はグリフォンに雇われた人形で、AR小隊のメンバー」
M4A1「以外に、答えられることなんてありません」
？？「確かに、お前のクラウド・マインドマップの中の記憶はAR-15のと完全に一致してる」
？？「が、私の欲しいものはこれじゃない。だから早く、答えろ」
M4A1「知らないって、言ったじゃないですか……」
？？「自分が作られた目的を知らないって、ありえないじゃないか」
？？「答えろ。早く答えるんだ」
M4A1「知りませんよ！」
M4A1「答えなんて、何を言ってるのか全然分からないわ！このクソ化け物め！」
M4A1「一体誰よ！早く私の前から消えて！」
？？「なぜ怒るんだ？」
？？「なぜ、他の者のように優しくしてくれないんだ？」
AR15「……彼女は本当に答えが分からないからよ」
AR15「AR小隊のクラウド・マインドマップは16LABの技術で暗号化される。大概の内容は、見たくても権限不足で閲覧できないわ」
AR15「M4の情報もその中の一つのようね。やはり【傘】でも無理ね……」
？？「……つまり、わたしにM4A1の情報は渡せないと」
？？「お前は契約を破った。グリフォンのAR-15……」
AR15「言ったじゃない。もともと可能性は薄かったと……」
パチ！パチ！(拍手)
？？「……わたしは契約を破る者は嫌い」
？？「行け、アルケミスト。権限を渡してやる」
？？「M4A1を連れて来い。他のやつは気にする必要もない」
アルケミスト「聞いてる、AR-15？」
アルケミスト「M4A1と一緒にいるんだろう？なら私達、すぐ会えるから……」
アルケミスト「ようやくこの手でお前をやっつけられるな！」
AR15「アルケミスト……」
AR15「気が早いわね、アルケミスト。そう簡単にあんたの思うようにはならないわ」
アルケミスト「もうお前の居場所はなくなったじゃないか、AR-15……」
アルケミスト「誰よりもお前が良く知ってるだろう。【傘】プロジェクトの初被験者で……」
アルケミスト「……遮断網の発生源として」
アルケミスト「大人しくM4A1を連れて来なかったのを後悔させてやるよ……」
アルケミスト「今すぐに……」
