普通 6-4 【監禁者】
【Part 1】
………数十分後、グリフォンS08区指揮室。
M16A1「指揮官。実に残念な報告だが」
M16A1「M4A1とSOPⅡはAR-15の追跡中、連絡が途絶えた……」
ネゲヴ「ねえ!M16、指揮官。いる?」
ネゲヴ「SOPⅡの痕跡を見つけた!」
M16A1「マジか?通信は繋がったか?」
ネゲヴ「SOPⅡのシグナルは確認できたけど、M4の情報はまだよ」
ネゲヴ「SOPⅡを呼び出してはいるけど、全然反応がない」
ネゲヴ「とにかく座標を送るから!」
ネゲヴ「この区域は先程の拠点からそう遠くないけど、少し前に鉄血が押し寄せて来た」
M16A1「何?またアルケミストが現れたのか?」
ネゲヴ「確信はできないけどそれは多分違うと思う……」
ネゲヴ「その一、敵の数が多すぎる。アルケミストの指揮権限をはるかに越えてるほどに」
ネゲヴ「その二、アレらの動きが……なんか右往左往してるって感じよ。何かの目的がありそうには見えないわ」
M16A1「特に私達を狙ってないなら一応安心できるな」
M16A1「ヘリアンに報告して、データベースからボスの情報を教えてもらおう」
ネゲヴ「言われなくてもそのつもりよ。あと貴女達も気をつけて」
ネゲヴ「指揮官の部隊がそっちを突破してくれないと、SOPⅡの救出は難しいから」
ネゲヴ「幸いについ先そっちの通信が直ったから、指揮官の指揮で突入できるよ」
M16A1「了解、ネゲヴ」
M16A1「指揮官、慎重に行こう。SOPⅡを助け出すんだ」
【Part 2】
……M16A1が目的地に到着し、M4とSOPMODⅡを探し始めた。
M16A1「……SOPⅡ!」
M16A1「SOPⅡ、大丈夫か?しっかりしろ!」
M4 SOPMODⅡ「あ……M16?」
M4 SOPMODⅡ「っ……M4は……?」
M16A1「お前も知らないのか?私が来た時はお前一人しかいなかったぞ」
M16A1「起きて何があったのか説明しろ!」
M4 SOPMODⅡ「う……」
M4 SOPMODⅡ「M4はさっきまでわたしと一緒に……AR-15を探してて、それから……」
M16A1「奇襲されたのか?相手が誰なのか覚えてる?」
M4 SOPMODⅡ「だめ……思い出せない……」
M4 SOPMODⅡ「M16、わたし分からないよ……」
ネゲヴ「あ、M16!まだそこにいたの!?」
M16A1「あ……今SOPⅡと合流したが、それが……」
ネゲヴ「聞いて。ヘリアンさんに連絡したけど、状況が良くないみたい」
ネゲヴ「一応AR-15の捜索は諦めて、作戦区域からの離脱を薦められた」
ネゲヴ「M16、聞いてる?今非常に危険よ」
ネゲヴ「早く指揮官にも知らせて、すべての人形を連れてS08区を離脱する!」
…………同時刻。
…………
AR15「…………」
AR15「目が覚めた?」
M4A1「あなたは……誰?」
AR15「私……?」
AR15「あなたを迎えにきた人よ」
M4A1「私を、迎えに?……どうして?」
AR15「面倒くさいやつね……」
AR15「あなたを連れて、みんなに会わせるのよ」
AR15「あなたの友達。彼女達が待ってる」
M4A1「友達?」
M4A1「私の記憶モジュールには、『友達』の定義に符合する者はいません」
M4A1「私には……友達がいないのでは……?」
AR15「………」
AR15「じゃあ、私があなたの初めての友達ね」
AR15「まったく……めちゃくちゃね……」
…………
M4A1「あ………」
AR15「目が覚めた?」
M4A1「AR……15……」
M4A1「ここは……どこ……?」
AR15「閉鎖された指揮室。誰も知らない場所よ」
AR15「一つだけ聞くわ。真剣に答えて」
M4A1「AR-15、きっと止むを得ない事情があったのでしょう、ね!」
M4A1「私にアルケミストは何をしたんですか!あの遮断設備は一体何なんですか!」
AR15「私の質問に答えなさい。今のあなたに出来ることはそれだけよ」
AR15「最初の質問よ。さっき……夢を見てたんでしょう?記憶についての夢を」
M4A1「…………」
M4A1「ええ、記憶でした。見ることも、聴くこともできる……」
AR15「もう一つ。記憶の内容を、教えて」
M4A1「多分……私が初めて目が覚めた時……」
M4A1「貴女の声を聞いて、目を覚まして……」
AR15「じゃあ……最後の質問よ。まじめに答えて」
AR15「M4A1……あなたは一体、誰なの?」
M4A1「……??」
M4A1「一体……何を言ってるんです……?」
AR15「答えなさい。M4」
AR15「私は今、皆の命を助けられるチャンスを与えてるの……」
AR15「あなた、指揮官、そしてグリフォンの皆を……」
AR15「だから、早く答えて。M4A1」
AR15「……あなたは、一体誰なの?」