普通 6-1 【ネゲヴ小隊】
【Part 1】
……AR-15の失踪から5日後、S08区の鉄血管轄区。
ネゲヴ「おはよう、私の指揮官。こちらはネゲヴ」
ネゲヴ「現在座標のS08区T6付近で偵察小隊がAR-15の痕跡を見つけた」
ネゲヴ「割と広い区域だから、私の小隊もAR小隊に協力して捜索任務に参加することになったわ」
ネゲヴ「だけど私達は臨時に派遣されたのだから、ここら辺の戦場にはまだ慣れてない。よって、通り道の片付けは任せたわね」
ネゲヴ「知っての通り、ここは鉄血の管轄区。それに少し前までは激戦地だった」
ネゲヴ「敵勢力が結構強いから、貴方のようなベテランでも気をつけた方がいいよ」
【Part 2】
……ネゲヴ小隊が目的地に到着した。
ネゲヴ「到着。ここがグリフォンの拠点ね」
ネゲヴ「私はここでレーダーの動向を監視するわ。ガリルは後方ね」
ガリル「おうよ、任せとけ」
ネゲヴ「タボール、手がかりの調査は始めたの?」
TAR-21「設備のメンテナンス中なので、まだです」
ネゲヴ「測定器はまず電源を入れておくようにって前も言ったじゃない。別に電気消耗が激しいわけでもないし」
TAR-21「節約は節約なんですから。結局帰ると新しい寮に入ることになりますよね。なら少しでも良くした方がいいかと」
ネゲヴ「まあそこは好きにして。でも任務を終わらせたいなら、AR-15を探し出さないとね」
TAR-21「さて、何故ヘリアンさんは『裏切り者』一人を探すためにここまで頑張ってるのでしょうか?」
ネゲヴ「あいつは運が悪かったとしか言えないね。【傘】コードに感染して、無自覚で私達の拠点を漏らしてしまった」
ネゲヴ「それが恥ずかしくて逃げたかも。でもここまでやれたんだから、覚悟は十分だったみたいね」
ネゲヴ「とにかく私達の任務はあいつを探し出すことよ。そうすれば16LABの人が彼女を回収する方法を工夫するから」
TAR-21「【傘】……彼女に感染したのが、【傘】コードというのはすでに確認しました」
TAR-21「もし単純に情報だけが漏れ出したのなら、聞いてたほど怖くないかも……」
TAR-21「でもそんな過ちを犯した人形を、まだ生かしておく必要がありますか?」
ネゲヴ「AR小隊の人形は皆16LABで直接開発されたのだから、メンツを立てる必要があったんだろうね」
ネゲヴ「それに彼女達のクラウド・マインドマップは私達とは違って、死んでしまうとそこでおしまいなんだよね……」
ネゲヴ「一応拠点の状況を指揮官に報告して増援を要請しよう」
TAR-21「…………」
ネゲヴ「タボール、どうしたの?」
TAR-21「おかしいですね……通信モジュールに問題が起こったようです」
TAR-21「駄目でした……失敗しました。もうこれは使えませんね」
ネゲヴ「(ため息)だから測定器は定期的にメンテナンスしておけと言ったのに。電力が足りないわけでもないのに……」
ネゲヴ「でも……今度のは測定器の問題じゃないみたいね……」
ネゲヴ「でしょ?鉄血の姉御サァン?」
??「………」
ネゲヴ「今よ、タボール!」
…………!!
TAR-21「ターゲットが拠点から後退しました。一応安全です!」
ネゲヴ「アイツは『アルケミスト』、狡猾なやつよ!全員周囲に警戒!」
アルケミスト「ふふ……まったく勿体無いことをしてくれたね……」
アルケミスト「あと3秒でお前の可愛い首筋に触れるところだったのに」
ネゲヴ「やっぱりこちらの通信を遮断したのは、あんたなのね?」
アルケミスト「それがね……それは本当に私とは関係ないよ」
アルケミスト「私は未熟な果物の匂いに惹かれてここまで来ただけだから」
アルケミスト「あとは……お前らの身体を八つ裂きにしながらゆっくり言ってやる!」
ネゲヴ「タボール、煙幕弾の用意を!」
ネゲヴ「皆、死ぬ気でこの拠点を守るのよ。絶対に鉄血部隊が近寄れないように食い止めろ!」
ネゲヴ「(小声)あとは任せたわよ、ガリル……」
アルケミスト「ははははは!」
アルケミスト「そう抵抗したって何の意味があるのか理解できないが、それがまた最高なんだよな!」
アルケミスト「ずっと足掻いてみろ。お前らの絶望が頂点に達した瞬間、もう一度ゆっくり味わってやる!」