緊急 6-3 【最後の願望Ⅲ】
【Part 1】
M4 SOPMODⅡ「M16……」
M16A1「どうしたSOPⅡ、AR-15は?」
M4 SOPMODⅡ「AR-15が……」
M4 SOPMODⅡ「必ずしなければならないことがあるって……」
M4 SOPMODⅡ「何なのかはわからないけど……わたし……怖いよ……」
M16A1「…………」
M16A1「分かった。SOPⅡ」
M16A1「今は私達にもすべき事があるから、そっちに集中しょう……」
M4 SOPMODⅡ「うん。アルケミストはわたしたちが倒したよ」
M4 SOPMODⅡ「鉄血の攻勢は……収まったの?」
M16A1「……そうだ。鉄血ユニットは混乱してていい加減に動いてるぞ。私達が目的ではないようだ」
M16A1「今輸送通路の通信が直って、残ってる人形は順に退却中だ」
M16A1「あとはM4だけだぞ。SOPⅡ、どこか分かるか?」
M4 SOPMODⅡ「うん……M4の位置はAR-15に教えてもらったよ。今捜索してるよ」
M16A1「よし、頑張ろうな。後始末は私に任せろ」
M16A1「指揮官、新しい任務だ」
M16A1「今SOPⅡはM4A1を助けに向かってる。彼女達に協力してくれるか?」
M16A1「現地の鉄血は弱まってないから、武力で突破するしかねぇんだ」
M16A1「部隊を連れて出撃を、指揮官」
【Part 2】
……作戦終了。SOPⅡはM4の隠れ場所へ向かった。
……
…………
M4A1「………いえ」
M4A1「当命令を放棄します」
M4A1「友達は……こういうのじゃない」
AR15「貴女が私に望んでるその『友達』は、命令に従わない限り得られないものよ」
M4A1「……待っています。あなたが望むまで」
M4A1「これは借りです。AR-15、ずっと待っているから……」
…………
…………同時刻、捨てられたビルの前。
AR15「………」
AR15「最後のやつも来たわね……」
AR15「前と同じね。まったく貴女って、不吉の前兆なのかしら……」
AR15「……M16A1」
M16A1「こんな物騒なところでわざわざ時間を作って会いに来たぞ……」
M16A1「必要とあれば気絶させて連れていくからな」
AR15「仕事を無駄にしてごめんなさい。でも私を止めないで。これは私の事よ」
M16A1「せめて私には、知ってること全てを教えてくれないか、AR-15」
M16A1「今まで、一体どんな目にあったのか……」
AR15「…………」
AR15「【傘】の真相を探すために、この数日鉄血のデータベースを調べたの」
AR15「とある鉄血の工場を調べてた最中、偶然にジャマー一つを稼働させた」
AR15「その夜、夢を見たの。起きてから通信機が全部使えなくなってることに気づいた」
M16A1「あのジャマーのせいか?あれと【傘】が何かの作用を起こしたのか?」
AR15「そうよ、多分ね。あのジャマーが【傘】にジャミングモジュールをアップロードしたと思う……」
AR15「唯一の連絡手段を失ってしまったけど、グリフォンに及ぼす影響が心配ですぐS08区に忍び込んだ」
AR15「あれから……次々と例の事件が起こったの……」
M16A1「それはお前のせいじゃないぞ、AR-15」
M16A1「お前が残した情報がなかったら、誰もそれが【傘】だとは知らなかっただろう」
AR15「私の不注意のせいよ。事件直後に冷静に救助を要請してたら、こんな惨劇はなかったはずよ……」
AR15「私が収集した情報は全部SOPⅡに渡しておいた。役に立つといいけど……」
M16A1「自暴自棄するな、AR-15。取り返すチャンスがないわけじゃねえ!」
M16A1「アルケミストは死んで、鉄血の勢いはそがれた!」
M16A1「あの鉄血らを見てみろ!虫けらのようにいい加減にぐずぐずしてるだけだ。指揮なんて受けてないぞ!」
AR15「…………」
AR15「何も分かってないようね、M16」
AR15「鉄血指揮系の混乱状態は……決してアルケミストの死のせいじゃないわ……」
AR15「影に隠れてる真の指揮者、彼女が私達を殺しに来ようとしてるわよ!」
AR15「……M4A1を除いた、私達全員をね」
M16A1「で、今やつを探しに行くとでも?探し出したってお前に何ができる?」
M16A1「どうしても行きたいなら、私を連れてけ!」
AR15「ネゲヴに情報を教えてもらったの。やつの位置や、周りの部隊の配置……」
AR15「あと……救助を待ってる周りの人形についてまで」
AR15「M16、彼女達は貴女に任せたわよ」
M16A1「それから一人でヒーローごっこでもするつもりか?」
M16A1「お前一人では生け捕りにされるだけだ!」
AR15「それはないわ。少なくとも……生け捕りではない」
AR-15が小さなスイッチを取り出した。
M16A1「高性能爆薬の撃発装置……そんなものをどこで手に入れた?」
AR15「ネゲヴにもらったの。ビルの下に設置しておいた」
AR15「この数の鉄血が道連れなら、思い残すことなんてない……」
M16A1「何を言ってる、AR-15?!」
M16A1「指揮室に帰りたくないのか!また皆と一緒に戦いたくないのかよ!」
M16A1「私達の中で一番名誉を渇望してやまないやつは、お前だろ!」
AR15「ごめんね、やはり私って融通が利かないよね……」
AR15「考えてみたけど、戦術人形は最初から最後まで兵士としてあるべきよ……」
AR15「戦場で敵を道連れに。これが私に最も似合う結末かもよ……」
………ドカッ!
………
AR15「(笑)痛いじゃない、M16」
AR15「ヒーローに対して……ひどい仕打ちね……」
M16A1「黙れ、AR-15……」
AR15「貴女は私を連れていけないわよ、知ってるでしょ……」
M16A1「聞こえなかった?!黙れって言ったろうが、AR-15!!」
AR15「………」
M16A1「もう一度……」
M16A1「もう一度口に出したら……殺すぞ……」
AR15「………」
AR15「もう……別の方法なんてない……」
AR15「私の身体に【傘】が移植されたその時から、もう二度とグリフォンには戻れない身よ……」
AR15「時間が経てば経つほどグリフォンの死傷者は増えるだけよ……」
AR15「私に出来る事をさせて、M16。最後の瞬間だけは……皆のために出来る事をしたいから……」
M16A1「………」
M16A1「AR-15、私にこの……この事をどうやって伝えろっていうんだ……」
M16A1「SOPⅡと……M4……に……」
AR15「それは……」
AR15「私が、最後の願望を……達しに行ったと言ってあげて……」